Skip to content
Home » News » 第100回暮らしの教室特別教室 「薬草園蒸留所MITOSAYAの話」レポート

第100回暮らしの教室特別教室 「薬草園蒸留所MITOSAYAの話」レポート

81983

第100回 暮らしの教室 特別教室

新商品クラフトジン白天狗 発売記念

「薬草園蒸留所MITOSAYAの話」レポート

暮らしの教室は今回で100回を迎えました。熊澤酒造100年振りのクラフトジンを発売するプレ試飲会+蒸留所見学と蒸留家の江口宏志さんの講演会が催されました。江口さんは千葉にある薬草園跡地で「MITOSAYA」という蒸留所を営んでいらっしゃいます。

創業150年の熊澤酒造では、100年前に蒸留酒を作っていたこともあり、ベースのお酒を蒸留したクラフトジン、「白天狗」を販売することになりました。

講師の江口宏志さんは15年出版関係のお仕事をして作家さんたちと触れ合い、何か自分にも表現できることがないかと探しているうちに嗅覚を失ってしまう人の本ととジンというお酒に出合い、お酒で沢山の表現ができることを知り、蒸留の世界にのめり込んでいったそうです。

お酒を創った人に会いにドイツへ渡り、そこで生活とお酒造りが無理なく全部繋がっていることを目の当たりにし、そのような場所を日本に創ろうと条件の合う場所をさがしていたところ、現在の千葉の薬草園跡地に辿り着いたそうです。

蒸留の仕事は適切な材料を適切な時期にひたすら採集することに尽きるので、沢山の良質で豊富な材料が生える場所を求めていたと言います。そんな場所で現在は「何を作ったらお酒にしてくれる?」と農家さんから引く手あまただという江口さん。発売後直ぐに売り切れてしまう程の人気の蒸留酒を作り出しています。

農家さんからだけではなく、「自分たちで収穫したものをできるだけ使う」というMITOSAYAさん。休耕田の田んぼを借り受けてライ麦を作ったりもされています。MITOSAYA=実と鞘(みとさや)どちらも使うということから付けた名前だそうです。作る場所とかかわる人を増やしていくことで、その場所で循環できる自然で無理のないサイクルを作っていくということを大事にされているように感じました。熊澤酒造も現在自社の田んぼを増やして酒米を自給していくという「酒米プロジェクト」に取り組んでいるので目指す未来図が似ている気がして、とても参考にさせていただきたいお話が沢山ありました。

恒例の3つの質問です。ターニングポイントはどこだったのか。誰もやっていない道を切り開いているのに狙っている感じがしないという熊澤社長の疑問に、狙っていますと笑って返す江口さん。狙った場所に自分が居られるスキマがあるということが大事で、今とは違う仕事をしていた時も、ずっと自分の居場所を探していたそうです。平凡で専門的な教育は受けていないので、そこではどうしたら自分の居場所がつくれるのか、自分にしか出来ない道を探っていたと言います。そんな中、蒸留酒が錬金術を研究する過程で生まれたものだと知ったこともポイントのひとつだったそうです。

 江口さんにとっての幸せのモノサシとはなんでしょうか?

今何もないからこそやることがいっぱいあり、一番やりたいことはMITOSAYAという場所を善くしていくことと、その中で自分たちでできる範囲で出来ることをやっていきたいという江口さん。「生産する場所、育てる場所、生活の場が一致してその中でうまく回っていく」というサイクルそのものが江口さんにとっての幸せなのだと感じました。

どんな未来になってほしいですか?

自分が飽きてしまったり嫌になってしまわないように工夫したりすることがとても大事で、そのために大量生産をすると無理が出てきてしまうので、バランスをとってやっていきたい、というお話でした。

今何が採れて今何をするタイミングなのか、ということが自然のサイクルに添っていて無理のない範囲を目指している、という江口さん生き方が結構これからの人間の生き方のモデルになるのでは、と未来に楽しい予感を感じられました。

その後は熊澤酒造クラフトジン・白天狗の試飲会に移りました。まろやかで飲みやすい、などの声も聞こえ、参加者の皆さんは舌触りを楽しんでおられるようでした。

更に蒸留所の見学に移り、大きな蒸留機を前に普段は聞くことのできない工程の話など、蔵人の説明を熱心に聞かれていました。

100回というだけあって大変盛りだくさんな会となりましたが、お客様も朗らかな雰囲気の中終了しました。

okeba村石

江口宏志(蒸留家 mitosaya株式会社 代表取締役 CEO )

Scroll To Top